海外への移住をするんだけど、住民票はどうしたらいいんだろう?
海外への移住が決まった際に考えなければいけない住民票問題。
海外転出届を提出し、『住民票を抜いた方が良いのか、残しておいても良いものなのか』
転出届を提出するなら『いつまでにて提出すべきなのか』など、考えることがたくさんです。
今回は『海外転出届を出して住民票を抜いた時のメリット・デメリットと方法』について解説をしていきます。
海外転出届の実態
海外へ移住が決まった際、1年以上の移住予定であれば原則として
出国前に事前に市役所や区役所などで海外転出届を提出し、日本での住民票を抜く必要があります。
1年未満の海外移住で予定あれば住民票を海外に転出する必要がありません。
しかし1年未満の移住予定でも海外転出は可能ですし
1年以上の移住でも海外転出届を提出しなくても違法性はなく、処罰の対象になるということは考えにくいです。
あくまでも『予定』なので、1年未満で帰ってくる『予定』として住民票を残すことができるというのが実態です。
住民票を抜く メリット
主なメリットをご紹介します。
①住民税を払わなくてもよい
海外転出届を提出し住民票を抜くと、日本に住んでいないので『非居住者』となり
住民税を支払う必要がなくなります。
住民税はかかりませんが、日本の企業などに属して海外からリモートワークをした場合は
所得税などは日本へ納税をする必要があります。
『海外移住における住民税と海外からの納め方』について、詳しくは以下の記事をご確認ください。
②国民健康保険へ加入する義務がなくなる
日本に住民票がある場合は、『国民皆保険制度』により
日本国民は必ず『社会保険』もしくは『国民健康保険』に加入する義務があります。
『国民皆保険制度』で上記の保険に加入し、毎月の保険料を支払うことにより
日本国民は病気や怪我などで医者にかかった際は診察費や医療費が患者は3割の負担で済んでいます。
海外転出届を提出することによりこの保険に加入する義務がなくなる(正確には加入ができなくなる)ため
海外にいながらこれらの保険料を支払う必要はありません。
もちろん保険に加入をしていないのでこれらの保険が適用されることもありません。
『海外移住に伴う社会保険・国民健康保険』については以下の記事で詳しくまとめています。
③国民年金へ加入する義務がなくなる
こちらも『国民皆保険制度』と同様に、日本に住民票がある場合
20歳以上、60歳未満の日本国民は『国民年金』への加入が義務となっています。
国民年金は働いている人が毎月一定の額を支払い、老齢や病気などで働けなくなったときに受け取るお金で
原則65歳以上になると積み立てた国民年金を受け取ることができます。
もちろん加入をしなくなり年金を支払わなくなることで
将来需給ができる年金の金額が少なくなってしまいます。
しかし『国民年金』は『国民健康保険』とは違い、任意での継続加入が可能なので
海外に移住をしても年金を継続して支払うことができます。
『海外移住に伴う国民年金・厚生年金』について、詳しくは以下の記事をご確認ください。
住民票を抜く デメリット
次に主なデメリットをご紹介します。
①国民健康保険に加入することができなくなる
先ほども記載しました通り、海外転出届を出すと『国民健康保険』に加入をする義務がなくなると同時に
加入をすることもできなくなってしまいます。
海外転出届を出した後、海外移住に際して何の保険にも加入していないとなると
万が一、海外で病気や怪我などなにかあった時に不安です。
『海外移住に伴う保険』ついて、詳しくは以下の記事をご確認ください。
年間収入が130万円以下の方に限りますが、住民票を残して親の扶養に入りながら渡航すると『社会保険』に加入することができ、保険料は無料です。
②銀行口座や証券口座を解約する必要がある
住所を抜くことによって銀行・証券会社にもよりますが
日本で今お持ちの銀行口座や証券口座を原則として解約する必要があります。
『ゆうちょ銀行』や『楽天銀行』、『SBI証券』や『野村證券』など
多くの銀行・証券口座が原則、口座解約の対象となっていますのでお気をつけください。
もちろん海外転出届を提出後に日本で新規に口座を開設することは難しいです。
しかし一部の銀行・証券会社には海外に移住をしても口座を維持できる
非居住者向けのサービスを提供している会社もあります。
『海外移住で住民票を抜いた後の日本の銀行口座・証券口座』について、詳しくは以下の記事をご確認ください。
③マイナンバーカードが使えなくなる(2024年)
海外転出を提出すると国内に住民登録がなくなるため、
『マイナンバーカード』は失効してしまいます。
マイナンバーカード自体は失効され、市役所や区役所に返納をする必要がありますが
付与されているマイナンバーの『個人番号』については抹消されることはなく
海外へ転出しても、また日本に再度転入をしても変更されることはありません。
マイナンバーカードが失効すると海外から日本での行政手続きがスムーズに行え無くなったり
新たに銀行口座を開くことができなかったりします。
上記のマイナンバーカードに関する制度が2024年5月に改定がされ、
“令和6年5月27日から、日本国籍の方は、国外転出後もマイナンバーカードを継続して利用できることになりました。
また、現在マイナンバーカードを持っていない海外在住の日本国籍の方(2015年10月5日以降に国外転出をしている方に限る。)もマイナンバーカードを申請することが可能になります。”
とのこと。現在では海外に住所を転出してもマイナンバーを保持し続けることが可能です。
(参照:マイナンバー総合サイト)
詳しくはこちらの『マイナンバーカード総合サイト』からご確認ください。
④『NISA』や『iDeCo』が使えなくなる
近年、国が強く推奨している『NISA』や『iDeCo』。
資産運用をすると、本来であれば利益に対して約20%の税金を納める必要がありますが
『NISA』や『iDeCo』を利用して運用すると、利益に対して課税をされることはなく、非課税で資産運用をできるという制度です。
この『NISA』『iDeCo』は住民票を抜くと原則として利用できなくなります。
『海外移住に伴うNISA・iDeCo』について、詳しくは以下の記事をご確認ください。
デメリットを踏まえてどうするのか
以上のデメリットを踏まえた上で
ご自身は海外移住に伴い、住民票をすぐに抜いた方が良いのかの判断をしてください。
繰り返しにはなりますが原則1年以上、海外に滞在する予定の場合は海外転出届を提出する必要があります。
海外転出届の手続き
いつまでに提出する必要があるのか
海外転出届を提出する場合は国外へ出国する日の14日前から出国する日の当日までに
お住まいの市役所や区役所で手続きをする必要があります。
提出手順と必要物
届出に必要な物は以下の通り
・本人確認書類(免許証、パスポートなど)
・マイナンバーカード、国民健康保険証(返納のため)
・住民移動届(役所で届出用紙を記入)
・委任状(代理で届出をしてもらう場合)
以上を用意し、お住まいの地方自治体の市役所や区役所で手続きを行います。
横浜市の住民移動届の記入例の用紙ですが、赤印部分のこれからの住所は
まだ居住地が決まっていない場合は『国名』と『住む予定である街』の名前を記入するだけで結構です。
海外転出届を出す前に
今回は海外転出届を提出し、『住民票を抜くメリット・デメリット』などを解説しました。
メリットが大きい反面、デメリットもそれなりにあり
住民票を抜いてしまうとできなくなってしまうこともたくさんあります。
海外転出届を出す際は、しっかりと住民票が日本にないとできないことを確認をしてから提出をし
海外に渡航するようにしてください。
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