住民票を抜いて海外転出をすると、年金はどうなるのかなあ?
海外転出をすると、それまで日本国民の義務であった『保険料』や『住民税』などの支払いが
義務でなくなることがあり、『年金』もその一つです。
今回は『海外移住に伴う国民年金・厚生年金について』
『支払う必要があるのか』『将来の受給額に影響があるのか』などを解説をします。
『国民年金』『厚生年金』とは?
まずは二種類の『年金』について簡単に説明をします。
①国民年金とは
『国民年金』とは、日本に住んでいる20歳から60歳未満までのすべての国民が加入する義務がある公的年金です。
一定額の国民年金保険料(2023年時点:月額16,590円【年間199,080円】)を納めることにより
老後に積み立てた年金を受けることができたり
障害や死亡によって、本人や家族の生活が脅かされないように保障する社会保障制度の一つです。
原則として年金が受給可能な年齢は65歳以上となっており
会社員やアルバイト、公務員の場合は保険料は毎月の給与から天引きをされています。
②厚生年金とは
『厚生年金』とは、『国民年金』に加えて会社などに勤務している人が加入する年金です。
基本的には企業や法人に所属していると自動的に加入をすることとなり、
国民年金に加えて加入することにより、(厚生年金の保険料を支払う必要がありますが)老後に受給できる年金の金額が増えます。
厚生年金の保険料は月ごとの給料に対してパーセンテージが決まっており、納付する額は給与や収入によって異なります。
また厚生年金は『社会保険料』に含まれており、国民年金と同様に毎月の給与から天引きされています。
『海外移住に伴う社会保険・国民健康保険』については、以下の記事をご確認ください。
海外移住における国民年金
加入義務はあるのか
結論から言いますと、海外転出届を提出して住民票を抜くと国民年金に加入する義務はなくなり
国民年金保険料を支払う必要がありません。
転出日の前月までの分の国民年金保険料を払う必要がありますが、それ以降の支払い義務はなくなります。
特に脱退に手続きなどは必要なく、市役所や区役所で海外転出届を提出すると自動的に脱退することとなります。
しかし国民年金は『任意加入』という形で海外に移住後も年金を支払うことが可能です。
国民年金の任意継続の手続きは海外移住前でも、海外移住後でも可能です。
移住前に国民年金の継続をすることを決心されている方は
市役所や区役所で海外転出届を提出すると同時に、継続の手続きを行うことをおすすめします。
『厚生年金』は社会保険料として企業や法人などに属している場合に支払うものですので
退職をした時点で加入を継続することはできなくなり、支払う必要はなくなります。
脱退の手続きは退職時に会社の人事が代行で行ってくれる場合がほとんどです。
日本の企業に属しながらの海外赴任や海外での駐在であれば、
移住後も変わらずに給料から天引きをされるという形で
『国民年金』と『厚生年金』に継続して加入をすることができます。
将来の受給額に変化はあるのか
2023年現在では国民年金保険料を20歳から60歳までの40年間支払うことで
年間約780,000円(月額約65,000円)の国民年金を受け取ることができると推測されています。
海外転出をしても国民年金に継続加入をして保険料を支払い続けた場合には
将来65歳以上で受け取ることのできる年金の金額に変化はありません。
年金保険料の支払いが義務ではなくなり、国民健康保険を払わないという選択をした場合
支払っていない保険料の分の年金は受給することができません。
また、国民年金を受け取るためには
保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上
という条件があります。
『受給資格期間』とは、年金を受給するために必要な公的年金への加入期間のことを指し
国民年金への加入期間(国民年金保険料の支払い期間)が10年以下である場合は
65歳以上になっても、それまでに支払った分の年金を受け取れないこととなっています。
『将来の受給額が減ってしまっては困る』『受給資格期間が10年以下である』という方は
海外転出時に同時に国民年金の任意継続をすることをおすすめします。
受給資格期間が10年未満の場合、今まで支払った分はどうなるのか
先ほど記載しました通り、受給資格期間が10年未満の場合は
65歳以上になっても、それまでに支払った分の年金すらも受け取れません。
しかし受給資格期間の合計が10年以上であれば、将来に最低限の国民年金を受け取ることができるため
海外移住により一度、国民年金を脱退した場合でも
数年後に継続加入手続きをし、過去の加入期間と併せて10年以上となった場合は
納めた分の国民年金を受け取ることができます。
国民年金の継続は60歳未満であればいつでも申請をすることができますが
もちろん国民保険料を支払っていなかった期間の年金は老後受け取ることはできません。
仮に保険料を納めた期間が最低限の10年間、未納期間が30年間だった場合
受給することができる年金額は満額(年間約780,000円)の4分の1となるため
年間約234,000円(月額約19,500円)の受給ができる計算となります。
最低限10年以上は国民年金に加入することがおすすめ
今回は『海外移住に伴う国民年金・厚生年金』について解説をしました。
受給資格期間が10年未満の場合は今まで支払った国民年金保険料が無駄になってしまわないよう
最低限10年以上の加入をすることを強くおすすめします。
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