退職をして再就職先が決まっていない場合、再就職活動中に失業手当を受給することができます!
所属していた会社を自己都合、または会社都合で退職し
再就職先がまだ決まっていない場合には、加入していた『社会保険』の内の『雇用保険』により
『失業手当(雇用手当)』を受給することができます。
今回は『退職後の失業手当の受け取り条件・手順』また、『海外に移住をする場合の失業保険』について解説をします。
『失業手当(雇用手当)』とは
『失業手当(雇用手当)』とは、正式には『基本手当』と言い
『自己都合』、または『会社都合(倒産、リストラなど)』なんらかの都合で失業をした場合に
手続きを行うことで受給できる給付金のことです。
失業すると、収入が途絶えてしまうため、安心して再就職活動ができないため
一時的な経済的支援である失業手当を受給することで
次の就職先を見つけるまでの間、生計を立てる手助けとなります。
失業したが人が支障なく安心して再就職活動を行えるよう、失業手当(雇用保険)という制度が設けられています。
65歳未満の失業者が受給の対象、受給ができる期限は離職日からの1年間です。
失業手当のパターンと条件
雇用保険の受給は退職の理由によって、受給の内容が異なりますのでここで主な3つのパターンを確認をします。
①自己都合退職(一般離職者)
『より良い就職先を探したい』『理由はないが今の仕事をやめたい』など会社を自分の都合で辞めるパターンです。
自分の意思で退職をしても、条件を満たせば失業手当を受け取ることができますが
受け取ることのできる期間が短く、給付までに時間がかかるなど他のパターンと比べると
少し制約がありますので、ご注意ください。
受給条件は以下2つを満たす必要があります。
・一定の求職活動をしていながらも就職できない「失業状態」にあること
・離職日以前の2年間で、12カ月以上の雇用保険への加入期間があること
②自己都合退職(特定理由離職者)
自己都合での退職の場合でも、以下のような場合は『特定理由離職者』と判断され
『一般離職』の自己都合退職よりも長い期間、失業手当を受給することができます。
例として以下のような場合は自己都合での退職でも『特定理由離職者』となります’。
・健康や精神上の理由で退職をした場合
・介護や育児などの家庭的な事情で退職をした場合
・希望退職者の募集に応じて退職をした場合 など
受給条件は以下2つを満たす必要があります。
・一定の求職活動をしていながらも就職できない「失業状態」にあること
・離職日以前の1年間で、6カ月以上の雇用保険への加入期間があること
③会社都合退職(特定受給資格者)
会社都合退職は名前の通り、会社の倒産やリストラにより会社の都合により解雇を受けてしまったパターンです。
また、セクハラやパワハラなどのハラスメントが原因で退職を余儀なくされた場合も
この会社都合退職と判断されることがあります。
受給条件は『特定理由離職者』と同様、以下2つを満たす必要があります。
・一定の求職活動をしていながらも就職できない「失業状態」にあること
・離職日以前の1年間で、6カ月以上の雇用保険への加入期間があること
いくら受給できるのか
基本手当(失業保険)
失業手当は離職前の給与(ボーナスなどは含まない)の約50〜80%の金額を受給ができます。
給付率は離職時の年齢や賃金日額によって異なります。
支給額の計算式は以下の通りです。
賃金日額 = 離職前6ヶ月間に支払われた給与の合計額 ÷ 180日
2023年7月現在の支給の限度額は以下の通りです。
離職の年齢 | 賃金日額の上限額 | 基本手当日額の上限額 |
29歳以下 | 13,670円 | 6,835円 |
30〜44歳 | 15,190円 | 7,595円 |
45〜59歳 | 16,710円 | 8,355円 |
60〜64歳 | 15,950円 | 7,177円 |
右側の『基本手当日額の上限額』が1日あたりに受給ができる手当の上限額となります。
最大で何日分の手当を受けられるのかは、社会保険(雇用保険)への加入期間など個人によって異なります。
受け取り可能な日数は以下通りです。
自己都合退職
社会保険への加入期間 | ||
---|---|---|
10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
90日 | 120日 | 150日 |
会社都合退職
離職年齢 | 社会保険への加入期間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ─ |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
各自おおよその金額を計算してみてください。
『過去6ヶ月の合計給与が150万円(月収25万円)、29歳で退職した場合』
【賃金日額】1,500,000円÷180日=8,333円
【基本手当日額(一日あたりの金額)】8,333円×(50%〜80%)=4,167円〜6,666円
【実際の支給額】(4,167円〜6,666円)×90日=373,030円〜599,940円
再就職手当(お祝い金)
また、失業手当の受給期間中に早期に再就職ができた場合も
『再就職手当』という形でお祝い金を受け取ることができます。
失業手当の支給日数が、ご自身が当てはまる所定の日数の3分の1以上残っている方が受け取りの対象となっています。
再就職手当の受給金額は以下の形で計算できます。
基本手当が受給可能な残日数 | ||
---|---|---|
1/3以上 | 2/3以上 | |
残りの受給可能額×60% | 残りの受給可能額×70% |
早く再就職ができると、その分多くお祝い金を受給することができます。
なお再就職手当を受け取るには、以下の全てを満たす必要があります。
①受給手続き後、7日間の待機期間満了後の再就職であること
(待機期間については後ほど説明をします。)
②失業手当の支給残日数が、3分の1以上残っていること
③再就職先と前職との間に、密接な関わりがないこと
④ハローワークまたは人材紹介会社経由で決定した再就職先であること
⑤再就職先で、1年以上の雇用が見込まれること
⑥再就職先で雇用保険に加入していること
⑦過去3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当を受給していないこと
⑧受給資格決定前(失業手当の申請よりも前)に、再就職先での採用が内定していないこと
⑨再就職手当の支給決定日までに離職していないこと
条件が多いように見えますが、難しい内容ではありません。
初めてのハローワークでの必要物
ハローワークに行き、求職者申請を行うのに必要なものは以下の通りです。
・雇用保険被保険者離職票(前職場からもらった離職票)
・個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票など、いずれか一種)
・身元確認書類(運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカードなど、いずれか一種)
・証明写真2枚(3.0cm×横2.5cm)
・印鑑
・本人名義の通帳もしくはキャッシュカード(ネット銀行不可の場合あり)
以上のものを全て持ってハローワークに行きましょう。
通帳もしくはキャッシュカードは、失業手当の振込先の確認のために必要です。
受給の流れ
受給の大まかな流れは以下の通りです。
順番に解説をしていきます。
①前職場から離職票を受け取る
まずは退職後、前職場から『離職票』を受け取る必要があります。
離職票は退職日から10日前後で交付されます。
交付について詳しくは前職場の人事までご確認ください。
②ハローワークにて離職票を提出し求職の申し込みをする
離職票を受け取ると、ハローワークにて求人申し込みをすることができます。
この求人申し込みをすることによって、失業手当を受け取ることが可能です。
先ほど記載した持ち物を全て揃えて、ハローワークにて手続きをしてください。
③7日間の待機期間
説明会終了後、『待機期間』として7日間はパートやアルバイトなど収入を生む行動をしてはいけない期間があります。
これはハローワークが本当に失業しているのかを確認するための期間です。
待機期間中が終了後は求職活動やアルバイトを始めても構いません。
失業手当の受給中にパート・アルバイトとして働いても問題はありませんが
その際には制限があるため、そちらについては後ほど解説をします。
④雇用保険受給者説明会に参加する
求人申請が終わると、ハローワークのスタッフより
「待機期間終了後に『雇用保険受給者説明会』へ参加するように」と案内があり、参加の日程を指定されます。
説明会では、再就職の情報や、失業手当の受給の流れなどを説明していただけます。
時間は1時間程度で終わります。
⑤1回目の失業認定日
失業手当を受給するには『失業認定日』として、 ハローワークにて失業の状態をチェックを受ける必要があります。
『本当にまだ失業をしている状態なのか』『しっかりと求職の活動をしているのか』などを確認され
認められた(認定された)場合に手当が支給されるという形です。
失業手当を受給するには、期間内に求職活動(ハローワークに就職の相談、企業への採用面接の応募など)を
次の認定日までに最低2回する必要があります。
認定された後、数日後に各個人の受給額が指定した銀行口座に振り込まれるという流れです。
⑥2ヶ月の給付制限期間
自己都合で会社を退職した場合、『給付制限期間』として2ヶ月間、失業手当を受けることができない期間があります。
失業保険に給付制限がある理由について、厚生労働省などからの明言はありません。
自己都合の場合は、この2ヶ月間は手当を給付できないということを念頭に置いておいてください。
先ほど解説をしました、『会社都合退職(特定受給資格者)』の場合は
本人の意思ではない退職であり、急に収入がなくなってしまうという状況であるために
この『給付制限期間』がなく、失業手当を給付をしてもらえます。
⑦2回目の失業認定日
2ヶ月の待機期間が終わると『2回目の認定日』です。
以降は失業保険の支給終了まで、4週間(28日)おきに認定日が設定されているため
4週間に一度、ハローワークにて失業認定を受けることで、失業手当を受給することができます。
4週間一度の認定なので『(28日分)× (各個人の基本手当日額)』分の手当を
認定日後毎に受給することができます。
1回目の失業認定日後では失業手当は支給をされません。
2回目の認定日のみ、手当は待機期間(7日分)のみの支給となりが
それ以降は認定日毎に28日分の手当を受け取ることができます。
受給期間中のパート・アルバイトについて
失業手当の受給期間中もパートやアルバイトをして収入を得ることができますがいくつか制限があります。
制限は以下の通りです。
雇用保険の対象になるほど働いてしまう
『1週間の所定労働時間が20時間以上の場合』および『31日以上の雇用が見込まれる場合』は
就職している状態となり、雇用保険(社会保険)に加入する必要があるため
失業状態でないと見なされ、失業手当は支給されません。
受給期間を超える日数のバイトをしてしまう
『1日あたり4時間以上』パートやアルバイトとして働くと、1日分の失業給付の支給が先送りになります。
減額されることはありませんが、4時間以上働いた日数分は支給開始日が後ろへずれてしまいます。
認定日までに4時間以上働いた日が5日間あれば、次回の手当は23日分の支給となります。
1日の受給額の80%以上稼いでしまう
1日4時間以内の労働の場合でも、『1日の基本手当の金額の80%以上』稼いでしまうと
同様に支給が1日ずれ込んでしまいますのでご注意ください。
待機期間中の労働してしまう
待機期間中にパートやアルバイトをしてしまうと、失業保険の受給ができなくなってしまう可能性があります。
海外転出しても受給できるのか
海外転出届を提出し、住民票を抜いた場合でも失業手当を受け取ることはできます。
しかし4週間に一度の失業認定がありますので、その都度帰国し、ハローワークにて認定を受けに行く必要があります。
そのため、航空券の往復の費用を差し引くとほとんど手元に手当分の金額が残らなかったり
受給可能金額によってはマイナスになってしまうことも考えられます。
移住しながら失業手当を受給する場合は、各個人の受給金額と航空券費用やスケジュールなど
メリットがあるのかを考慮した上でご判断ください。
また、海外で再就職をした場合には
基本的には『再就職手当(お祝い金)』を受け取ることができませんのでご注意ください。
海外での再就職でも日本企業が雇用保険制度の対象であれば適用となります。
対象となる企業かどうかはハローワークまでご確認の上、就職活動を行なってください。
不正受給をした場合
嘘や不正の行為で失業手当を受給したり、受けようとした場合には
発覚以降はこれらの失業手当などを受けることができなくなり、受給した手当の返還をする必要があります。
さらに返還をした不正受給金額とは別に、不正の行為により
支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付をしなければならない可能性があります。
受給の前にハローワークに必ずご確認を
今回は『退職後の失業手当の受け取り条件・手順』について解説をしました。
受給の流れや条件については、各ハローワークによって異なる場合がありますので
詳しくはお住まいのハローワークにお問合せください。
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わかる範囲で回答をします。
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